夏の終わりをちょっぴり ― 2013/08/06 22:09
湿気を含んだ重たい空気が肌にまとわりつく感じでした。
少しは涼しいかなと思い、逃げ込んだ木陰。既に先客がいました。
超スリム体形のアオイトトンボ。ゆったり翅を開いて休息中でした。
繁殖行動時は日向の水辺に出ますが、それ以外はもっぱら林内の日陰愛好派です。 がんがんに陽が射す水辺で見た黄色いトンボ。
今の時期の黄色いトンボと言えば、ウスバキトンボと相場が決まっていますが・・
これは別種。成熟すると真っ赤に染まるショウジョウトンボの未成熟個体です。
赤い個体を見かけないなと思っていたのですが、世代交代が進行中の様です。 参考に8/2に撮影したウスバキトンボの画像を一枚。
体形的にもショウジョウトンボとは大分違いますし、翅休めのポーズも大違い。
この様に、垂直に近い状態で止まりますので、見分けは簡単です。 ツクツクボウシの声を耳にしました。都区部では最も遅い時期に登場するセミです。
暑さも今が盛りですが、夏の終わりの近づきをちょっぴり感じた瞬間でした。
秋の昆虫シーンの主役達も、成長に拍車が掛かる時期か・・
とは言っても、現実はこの通り。まだまだだなぁって言う感じ。
ハラビロカマキリは、まだまだお尻をくいっと曲げた幼虫体形のままです。
それにしても、お尻のこの曲げ角度。苦しくないのかなぁと心配になる位・・ これはセスジツユムシの幼虫です。
エンゼルのそれを思わせる小さな翅で、まだまだ伸びしろは十分。
スマートな体形の成虫に変身するのは、セミの声がおさまった頃でしょうか。
※8/6に都内で撮影
ヒマワリもうなだれる ― 2013/08/07 22:12
猛烈な暑さをもたらす夏の高気圧がどっかりと腰を据えた様です。
暑さには多少慣れたとは言え、この先も当分この暑さが続くと思うと・・ クマバチはヒマワリの蜜にぞっこんの様です。
かなり窮屈そうなポーズでしたが、花に張り付いて離れません。
夏を乗り切るスタミナ源として、これが絶対必要と言う事みたい。 ムギワラトンボ(シオカラトンボの雌)は、これ位の暑さは目じゃない感じ。
颯爽とした姿で、小昆虫の捕獲を繰り返していました。 飛び立たない事を幸いに、接近して顔面迫写を一枚。
ごく普通種のトンボですが、決してあなどる事が出来ない迫力十分の面構えです。
こんないかつい顔で、レディ(雌)だって言うんだからねぇ・・
※8/7に都内で撮影
木立に逃げ込む ― 2013/08/08 21:37
たまらず逃げ込んだ木立の中。若干ましだけど、ほっと一息つける程でも・・
降り注ぐ蝉時雨が、暑さをより一層高めている様に感じられました。 特に暑さを助長する感じなのが、ミンミンゼミのやかましい鳴き声です。
その声の主の姿はこの通り。透き通った翅、緑色基調のクールな体色。
声のイメージとは大違いなんですが・・ ニイニイゼミの抜け殻が木の幹にいくつも残されていました。
他のセミのそれに比べたら、ずーっと小柄で色合いも地味です。
ひっそりと止まるその姿に、どこか哀愁感さえ漂う様に感じます。 木立の主役は当然の事ながらセミ。
しかし目を凝らしてみると、意外な程多くの昆虫を目にする事が出来ました。
これはアオバハゴロモ。涼しげな色合いが目に心地よい。
セミの遠い親戚なので、こうして木の幹に張り付くのは自然な行動です。 ヨコバイの一種の幼虫でしょうか。
木の幹を伝いながらどんどん上方に移動して行きました。
目指す食べ物は木のてっぺん付近にありと言う事の様です。 これも上を目指して移動して行きました。ニレハムシの幼虫と思われます。
その名の通り、ニレ等の木の葉に甚大な被害をもたらす害虫です。
盛大に生い茂った樹々の葉も決して安泰とは言えない様です。
※8/8に都内で撮影
尻込みばかりでは ― 2013/08/09 20:39
スポーツドリンク、汗拭き用のタオル、帽子等を完備して、いざ草むらへ・・
何の事はない。暑さに強い筈の夏の昆虫もこの暑さには参っている感じでした。
元気いっぱい飛び跳ねる筈のショウリョウバッタもこんな状態。
葉っぱの裏に隠れて陽射しを除けていました。全然らしくない姿だなぁ・・ ファイト満々な奴は、日陰になる場所にいました。
クズの葉にいたハラビロカマキリの幼虫。手に何かを持っています。
クズに来る昆虫と言えばマルカメムシが代表種。それをキャッチした様です。 むしゃむしゃと食べ始めました。
”おいおい、そんな臭い奴、良く食べれるね” って言いたくなりましたが・・
”全然平気だよ” って言う感じの見事な食べっぷりでした。
人と昆虫では、匂いに対する感覚にかなりの差があるんでしょうか。 木立の中では、甲虫達の樹液漁りが繰り広げられていました。
しかし、この観察地での今季の傾向として、樹液の出が全然芳しくありません。
このシロテンハナムグリは、幹をかじって樹液にありつこうとしているみたい。
でも成果の方は余り期待出来そうにない様にも・・苦労の日々なんでしょうね。 同じタブノキの葉で多く見かけたのが、アオスジアゲハの幼虫です。
幹から張り出した小枝の葉を、食い尽くす程の猛烈な食欲を見せています。
秋の草むらを活発に飛び回るには、今の時期に沢山食べておかなくちゃ・・
※8/9に都内で撮影
多摩川河岸にて ― 2013/08/10 19:38
涼しい川風を期待したのですが、ほぼ無風。
淀んだ空気に対岸の風景もぼんやり霞んでいました。
引き潮時に現れる干潟には、シジミ採りをする人の姿がちらほら。
ところで、手前の干潟がやけにガサガサとしていますが、これは一体?。 ガサガサの実態を望遠レンズで確認してみたのが、これ。
数え切れない程のカニが、干潟全体を埋め尽くしていました。
一斉にハサミを振り上げたり、横歩きをしたりするので、とても賑やか。 ディテールはこの通り。
このカニは胴体が薄い水色、ハサミが白色でちょっぴりクールタッチ。
時々ハサミを勢い良く振り上げる動作を見せます。
近くには同種のカニが沢山いますので、自分の縄張りを主張している様にも・・ 片方のハサミがもげてしまったのもいました。でも大丈夫。
他のカニに負けずに、ハサミの振り上げを繰り返していました。
頑張れよと声を掛けたい気分。 ここを訪れた主目的は、岸辺の草むらに生息する昆虫の観察でした。
しかしそこの眺めはこの通り。
強い陽射しに夏草が眩しく輝き、草いきれが充満して、正に蒸し風呂状態でした。
昆虫達も繁みの奥に隠れてしまい、その姿を確認する事は出来ません。 責め苦に満ちた様なそんな空間で、赤い草の実を見つけて、ほっと一息。
健康食品としても知られるクコの実です。
猛暑や日照りに負けない強い生命力の持ち主の様です。
萎えた精神への強壮作用があるとも言われていますが、何となく納得出来る感じ。 実の近くには小さな花も咲いていました。
花弁に対して、アンバランスな位に大きさなシベが目立っています。
繁殖力の強さを象徴している感じでした。
※8/10に多摩川河口付近で撮影