見かけによらない2018/07/06 21:25

見かけによらない
”梅雨はまだ終わっていないよ” と言いたげな、雨降らしの空に覆われた東京。
真夏スタートを感じていた昆虫たちも、やや戸惑い気味でしょうか。
これは、雨滴を宿した葉の上にいたハラビロカマキリ幼虫。
こんな日は、獲物となる昆虫の動きもさっぱりで、ほとほと困り果てた様子でした。
イトカメムシがアリを捕食
”名ハンターも、降る雨には勝てないんだな” と思っていたら、こんな光景に遭遇!。
見るからにひ弱そうなイトカメムシ。その細長い口吻の先っぽにいたのはアリでした。
首尾よくアリを捕獲して、その体液を吸い取っている瞬間だったと言う訳。
植物の汁を吸う事をメインとし、時にアブラムシ等の小昆虫も狙うとされるこの種。
基本的に、あまり大した採餌能力は持っていないと思っていたのですが・・
動きの機敏なアリをキャッチ出来るなんて、イメージ違いもいいとこ!。
イトカメムシ
参考に、イトカメムシの普段の姿を示す画像(7/3の当ブログに掲載済)を再掲します。
見るからに弱々しいこのヤセッポチがねぇ・・
私にとって、”虫は見かけによらない” の具体例がまたひとつ増えました。

※7/6に都内で撮影、参考画像は7/2に同じく都内で撮影

気の長い話2018/07/07 21:30

気の長い話
夏の風物詩・セミの声が一段とボリュームアップして来ました。
ただし今耳に届くのは、真っ先にデビューしたニイニイゼミの声が殆ど。
この後登場するアブラゼミやミンミンゼミの声に比べると、遥かに控えめです。
姿の方も控えめ。木の幹に同化する色合いで、目撃はそう簡単ではありません。
まして幹の高所に止まるので尚更。これはようやく見つけての望遠ショットです。
オンブバッタ幼虫
セミ達が地上で過ごす時間は、地中生活のそれに比べて、極めて短い。
一方、今の草むらでは、秋の終盤まで生き続ける息の長い種も多数生息しています。
オンブバッタもその一つ。但し今は超ミニサイズなので、良く目を凝らさないと・・
今日目撃した個体のひとつがこれ。
緑色タイプの幼虫の下に見えている白いのは、さっき脱ぎ捨てたばかりの脱皮殻です。
その詳細は下の画像で・・
オンブバッタの脱皮殻
脱皮殻の詳細です。一段階成長した幼虫と相似形ですが、サイズは遥かに小さい。
こんな窮屈そうな入れ物に収まっていたんですね。
無事脱皮出来て、伸び・伸〜びって言う感じでしょうか。
しかし、成虫になる為には、今回の脱皮だけでは足りずに、更に・・が必要。
セミ達の短い地上生活に比べると、随分気の長い話ですね。

※7/7に都内で撮影

ひっそりと・・2018/07/08 20:46

ひっそりと・・
今の時期、樹下の草地で良く目にするのがこれ。泥だらけのニイニイゼミ抜け殻です。
これから登場するアブラゼミやミンミンゼミのそれには見られないこの種だけの特徴。
なぜ泥だらけなのかには諸説ある様ですが、その一つで有力なのがオシッコ活用説。
地中から出る際、自分のオシッコを接着剤にして周囲の泥を体に塗りたくると言う訳。
なんでそんなややこしい事をするの?ですが、恐らく身を護る為でしょうね。
”私は単なる泥の塊で、決して生き物じゃないよ” って言うアピール?・・
その効果の程は?ですが、いずれにしても、この種の用心深さを象徴している感じ。
木肌に紛れるニイニイゼミ
幼虫の用心深さは、成虫にもそのまま受け継がれている様です。
樹木の木肌に紛れる体色や模様を持っている為、観察者や宿敵の目にとまりにくい。
じーっと目を凝らしてやっとと言う発見過程を経る事になります。
今日そんな過程を経て見つけたのがこれ。頭の緑色がやや目立っている程度ですね。
でも個体、何だか様子が変!と言う事で凝視してみたら、実は2匹の結合体でした。
交尾中のニイニイゼミ
観察アングルを変えてみたらこの通り。
お尻とお尻をくっ付けあって、今まさに交尾中のカップルでした。
熱いシーンの筈なのに、何ともクールの雰囲気。
ひっそりと誕生し、ひっそりと愛を成就させて、他のセミ達に主役の座を明け渡す。
いかにもこのセミらしい生き方だなぁと・・
そう言えば、今日初めてミンミンゼミの声を耳にしました。
セミの世界もいよいよ次のステージに足が掛かった様です。

※7/8に都内で撮影

一生を通じて・・2018/07/09 21:15

一生を通じて・・
真夏の雰囲気を盛り上げるセミの声。
それが耳に届く草むらで、いま良く目にするのがこのヘンテコリンな昆虫です。
一見、蛾の仲間の様に見えるけど、頭(画像下部)の形が全然それらしくない。
と言う事で素性をたどると、これはセミの親戚ハゴロモ科のベッコウハゴロモでした。
植物の茎に取り付いて汁を吸う食性は、本家セミ達と同様です。
そんな食事時間以外は、この様に、草の葉上等に止まりじーっとしている事が多い。
興味津々なアリ
そんな姿が、餌探しに夢中なアリ達の興味を惹かない筈もありません。
・・って言う訳で、1匹が近づいて来ました。
”何だこれ!、餌になりそうかなぁ?” って、四方を巡って眺めていましたが・・
アリに食いつかれるベッコウハゴロモ
意を決して、翅の端部にガブリと食いつきました!。
さすがに、ハゴロモは異変を感じた様で、モソモソ動き、アリを追い払い!。
とにかく今は、アリ達の動きが活発。うかうか昼寝も出来ないやの一コマでした。
ベッコウハゴロモの幼虫
ベッコウハゴロモ成虫は相当風変わり。そのユニークさは幼虫時代からの伝統です。
これは6月20日に撮影した幼虫の姿。
金魚の様に見えなくもない体、お尻にはブラシ状の白い毛がモジャモジャ・・
これが成虫化して、アリがちょっかいを出したくなるあの姿に・・
一生を通じてヘンテコリンを貫き通すなんて、かなりのパフォーマーだなぁと・・

※本日撮影の画像ではありません(成虫は7/8に、幼虫は6/20に、都内で撮影)
※なお、幼虫画像は、6/20の当ブログ記事に掲載した物の引用掲載です。

ラッキーな体験2018/07/10 21:39

ラッキーな体験
真夏の陽射しが照りつける草地で出会った物凄いやつ。
レンズを睨みつける視線、今にも襲いかからんとしている感じの挑戦的なポーズ。
こんな威圧感たっぷりの風貌を持つ昆虫とは?・・
キリギリスの雌・成虫
側面図で正体は明らかに・・逞しく成長したキリギリスの雌・成虫でした。
お尻には鋭い産卵管が生えています。これを見る限り、繁殖能力も万全と思われます。
この日はたまたま枯れ草が積もった場所での出会いでしたので、観察的にはラッキー。
通常は夏草の繁みの中に潜んでしまう為、オスの鳴き声でその存在を知るのみ。
例の、チョン、ギースですね。
さて、こうして、立派な成虫の姿を見るにつけ、思い出すのは、5月のあの日・・
キリギリスの若齢幼虫
・・って言う事で、5月の草むら散策で出会った幼虫画像を一枚。
現状と比較にならない位に小さいし、背中にはまだ翅も生えていません。
後脚だけが頼りって言う感じで、草むらをピンピンと飛び跳ねていました。
これが約2ヶ月の時を経て、上に掲載した通りの見違える様な姿に・・
成長のパワフルさをつくづく思い知らされました。
ただ気になるのは成虫の数。幼虫時はそこら中に沢山でしたが、今はごくたまーに・・
脱皮を繰り返す成長の過程で、外敵に襲われる等の試練に見舞われたのでしょうね。
そう言った意味で、あのきつい視線に睨まれるのは、凄くラッキーな体験かなと・・

※本日撮影の画像ではありません。
成虫は7/8に、幼虫は5/5に、いずれも都内で撮影。
なお、幼虫画像は、5/5の当ブログ記事に掲載した物の引用掲載です。