食欲の五月2019/05/06 20:15

食欲の五月
人間世界では食欲の秋と言う表現が使われますが、昆虫世界では正に今がそれみたい。
食って食って食いまくるぞ!って言う光景を随所で目にする事が出来ます。
これはタンポポの綿毛に潜りこんで食事中のキリギリス幼虫。
”花は勿論だけど、ふわふわの綿毛も結構いけるのよ” って言う事らしい。
何となく、綿あめにかぶりつく子供の様な雰囲気も感じられて微笑ましい。
しかし、種子の付いた綿毛を沢山飛ばしたいタンポポにとっては、とんだ災難!。
花壊し屋の食事風景
ハナムグリ等甲虫の仲間の食事風景は、かなり過激です。
花芯、花弁を問わずムシャムシャ・・いわば破壊行為を実行中。
このシーンでは一輪のハルジオンの花に対して、ダブル攻撃をかけていました。
花の悲鳴が聞こえてきそうな気が・・
カラスノエンドウの花外密腺にアリ2匹
こちらは、野草と昆虫の友好的な関係を示す光景です。
カラスノエンドウの茎に止まる2匹のアリ。
下方のアリが口吻を差し向けているのは、花外蜜腺と言う器官でした。
もう一匹のアリも、上々にある蜜腺(上尖りの黒い箇所)に関心をよせています。
その名の通り、この黒い箇所からはアリが好む蜜が沁み出しているらしい。
なぜそんな事をするかと言うと、自分を食害する虫退治をアリに依頼したいから。
果たしてその重要責務をアリが果たしているかどうか?・・
おいしい蜜を吸うだけ吸ってサヨナラでなければいいのですが・・

※5/6に都内で撮影

ふるさと離れがたし2019/05/07 20:29

ふるさと離れがたし
公園樹として多く植えられたサクラの木。
その中には、老朽化に伴い、かなり傷みの激しい物を見かける様になりました。
これはその一例。樹皮が広範囲にはがれてしまい、痛々しい姿を晒しています。
所で、私の注目点は緑色の円で囲った部分。思いもかけぬ昆虫が止まっていました。
ヒラタハナムグリ
それがこれ。超小形のハナムグリ・ヒラタハナムグリでした。
このポーズのままじーっと固まって動きません。
ハナムグリの好物は花。でもこいつは木を食ってる?。そんな気がしたのですが・・
さすがにそれは無し。朽木の木質を食べるのは、この種幼虫の特性らしい。
朽ちた部分の多いこの木は、幼虫にとって絶好の誕生・生育場所だった様です。
この成虫は、そんな生まれ故郷を離れがたしの心境だったんでしょうか。
コアオハナムグリの食事風景
いま草むらでは、ハナムグリの仲間のこんな食事風景が随所で繰り広げられています。
今日は木にいたあのヒラタハナムグリ成虫も、もうすぐこの餌取り合戦に参戦の筈。
食い荒らされる花にとっては、ますます嬉しくない状況になって行きそうです。
(ハルジオンの花にいたコアオハナムグリ)

※ヒラタハナムグリは5/7に、コアオハナムグリは5/3に、いずれも都内で撮影

警戒を怠るな!2019/05/08 21:53

警戒を怠るな!
小さな甲虫が葉っぱに止まっていましたと言いたい所ですが、何か変!。
よく見ると、葉っぱの表面から僅かに離れた場所に浮かんでいました。
ポイントは、甲虫の下にぼんやりと見える白い帯状の物体。
これは、ある種のクモが張るハンモック網と呼ばれる網です。
葉っぱに止まろうとする昆虫の目をあざむく為に、視認性が極めて悪い。
この甲虫は、その策略にまんまと引っ掛かってしまったんですね。
脚が長いエビグモ
クモと言えば網を張って待ち伏せするイメージですが、そうでない物も多い。
葉っぱの上でじーっと待機中だったこれもその一つ。
踏ん張っている脚の長さが際立っていました。
この種の狩猟法は、近づいて来た獲物に向け長い脚を振りかざしてバサッと・・
昆虫の世界が賑やかさを増す今、宿敵クモへの警戒怠りなしが鉄則と思われます。
(キンイロエビグモと推定)

※5/8と5/6に都内で撮影

新緑の美にうっとり?2019/05/09 22:06

新緑の美にうっとり?
青空に映える樹々の葉の新緑。透明感漂うこの色合いは今の時期限定です。
眺めているだけで気分がスッキリ。人を元気づけてくれるパワーを秘めている感じ。
花外蜜腺から吸蜜するアリ
そんな若葉の上で、アリがこんなポーズをとっている場面に度々遭遇します。
”アリも新緑の美を堪能中” って言う風に見えなくもないけれど、理由は、全く別。
口を葉っぱの表面に接触させて、甘い蜜を吸い取っていると言うのが真相です。
アリが口を付けているのは、花外蜜腺と言う蜜の供給器官。
葉を食害する害虫をアリに駆除して貰う目的で設けられた蜜源とされています。
人の目には見えないけれど、アリはその存在をばっちり把握済みなんですね。
さて、葉っぱがアリに期待する害虫駆除効果は?・・
蜜を吸うだけ吸って、バイバイって言う事でなければいいのですが・・

※本日撮影の画像ではありません。(5/8に都内で撮影)

頻尿2019/05/10 20:02

重度な頻尿症状
濃さを増し始めた緑の空間。その中をピンピンと飛び跳ねる昆虫の姿あり。
同系色なので見分けがつきにくいのですが、目を凝らすとかなりの数が生息中。
セミの親戚・ヨコバイの仲間です。
植物の茎に取り付いて、口吻を突き刺し樹液や草の汁を摂取する生活を送っています。
ヨコバイのお尻に注目!
ヨコバイの仲間に出会ったら、そのお尻に注目!・・
多くの場合、こんな光景を目にする事が出来る筈。
ぷっくりと膨らんだ水玉は、言うまでもなくオシッコです。
ヨコバイがいる所、水滴多数
これは別の個体の一休み風景。
お尻付近の葉っぱの表面に4つの水滴が確認出来ます。
これを見る限り、汁を吸ったら即排出と言う慌ただしい食生活を送っているみたい。
重度な頻尿症状ですね。栄養分はしっかり獲れているの?と余計な心配を・・
(クワキヨコバイ)

※5/10に都内で撮影